子どもの皮膚疾患:乳児湿疹・おむつかぶれ・とびひの対処
この記事は一般的な情報提供を目的としており、医療アドバイスに代わるものではありません。健康上の問題については、必ず医師にご相談ください。編集ポリシー

子どもに多い皮膚疾患(乳児湿疹・おむつかぶれ・とびひ)の原因・症状・治療法・日常ケアを専門医監修で解説。受診のタイミングも詳しく紹介します。

赤ちゃんや子どもの肌は大人と比べてバリア機能が未熟で、皮膚トラブルが起こりやすい特徴があります。乳児湿疹・おむつかぶれ・とびひはよく見られる小児の皮膚疾患ですが、適切なケアと治療で多くは回復できます。本記事では、それぞれの原因・症状・対処法・受診のタイミングについて詳しく解説します。
子どもの肌の特徴と皮膚疾患が起こりやすい理由
生後間もない赤ちゃんの皮膚は、大人の皮膚と比べて以下の特徴があります:
- 角質層が薄く、バリア機能が未発達
- 皮脂腺の活動が不安定(生後数ヶ月は活発、その後低下)
- 外部刺激・アレルゲンが侵入しやすい
- 免疫機能が発達途上
- 体表面積あたりの汗腺数が多く、あせもができやすい
これらの特徴から、乳幼児期は皮膚疾患が発症しやすく、大人では問題にならないような刺激でも皮膚トラブルが生じることがあります。赤ちゃんのスキンケアは単に清潔にするだけでなく、バリア機能を支えるための保湿も同じくらい重要です。
乳児湿疹:生後2週間頃から現れる湿疹
原因と種類
乳児湿疹は生後2週間〜数ヶ月の乳児に多く見られる湿疹の総称で、複数の原因が絡み合って発症します。
| 種類 | 原因 | 好発時期 | 好発部位 |
|---|---|---|---|
| 脂漏性乳児湿疹 | 皮脂分泌過多 | 生後2〜3週 | 頭部・眉毛・おでこ |
| ミリア(白色丘疹) | 皮脂腺の未熟さ | 生後まもなく | 鼻・頬 |
| 新生児ざ瘡(にきび) | ホルモン影響 | 生後1〜4週 | 顔 |
| 乾燥性湿疹 | 皮脂欠乏・乾燥 | 生後数ヶ月以降 | 顔・体全体 |
| アトピー性皮膚炎 | 遺伝的素因+環境 | 生後3ヶ月以降 | 顔・肘・膝の内側 |
池田模範堂の乳児湿疹解説によると、多くの乳児湿疹は適切なスキンケアによって改善しますが、アトピー性皮膚炎は長期的な管理が必要なため、小児科・皮膚科での診断が重要です。
乳児湿疹のスキンケア
乳児湿疹の基本ケアは「清潔」と「保湿」の2本柱です:
洗浄のポイント
- 赤ちゃん用の低刺激性石鹸を使い、手で優しく洗う
- 頭部の脂漏性湿疹は柔らかいシャンプーで優しく洗い流す
- ゴシゴシこすらず、泡で包んで洗う
保湿のポイント
- 入浴後できるだけすぐ(5分以内)に保湿剤を塗布
- 赤ちゃん用保湿剤(ワセリン・ヘパリン類似物質など)を使用
- 皮膚が乾燥する冬は特に丁寧に保湿する
症状が改善しない・範囲が広がる・かゆみが強い場合は皮膚科・小児科を受診しましょう。
おむつかぶれ(おむつ皮膚炎):赤ちゃんのお尻のトラブル
原因とメカニズム
おむつかぶれは、おむつを当てている部分の皮膚に炎症が生じた状態です。
池田模範堂のおむつかぶれ解説によると、主な原因は以下の通りです:
- 尿・便の刺激:尿に含まれるアンモニア・便の酵素・大腸菌などが皮膚を刺激
- 蒸れ・湿潤環境:おむつ内の高温多湿が皮膚バリアを弱める
- おむつの摩擦:素材や動きによる物理的な刺激
- カンジダ菌の二次感染:皮膚が弱った状態でカンジダ(真菌)が感染すると治りにくい
症状の特徴と見分け方
おむつかぶれは赤み・腫れ・ただれが典型的な症状で、ひどい場合は皮膚がただれてじくじくします。おむつが当たる部位(太もも付け根・お尻・陰部周辺)に発症するのが特徴で、皮膚のしわの奥には発疹が少ない傾向があります。
カンジダ性おむつ皮膚炎の場合は、境界がはっきりした赤い発疹と周囲に小さな衛星病変(小さな丘疹)が特徴で、通常のおむつかぶれの薬では効果がなく、抗真菌薬が必要です。
ケアと治療
基本ケア
- おむつ替えの回数を増やし、皮膚を湿潤状態のままにしない
- 洗うときはシャワーや湿らせたコットンで優しく拭く(市販のウェットシートは刺激が強い場合あり)
- 亜鉛華軟膏(ジンクオキサイド)でバリアを作る
- おむつを少し大きめのサイズにして通気性を高める
医療機関での治療
- 軽症の炎症:弱いステロイド外用薬
- カンジダ感染:抗真菌薬(クロトリマゾールなど)外用薬
- 細菌感染を伴う場合:抗菌薬
とびひ(伝染性膿痂疹):子どもに多い細菌感染症
原因と感染の仕組み
とびひは黄色ブドウ球菌や溶血性レンサ球菌が皮膚の小さな傷・虫刺されの掻き傷などから感染して起こる細菌性皮膚疾患です。夏場(6〜8月)に多く、特に0〜6歳の子どもに感染しやすい特徴があります。皮疹が「とび火」のように急速に広がる様子がとびひという名前の由来です。
第一三共ヘルスケアのとびひ解説によると、とびひには2種類があります:
| 種類 | 原因菌 | 症状の特徴 |
|---|---|---|
| 水疱性膿痂疹(水ぶくれ型) | 黄色ブドウ球菌 | 薄い水ぶくれがすぐ破れて広がる |
| 痂皮性膿痂疹(かさぶた型) | 溶血性レンサ球菌 | 厚いかさぶた・かゆみ・痛みが強い |
感染予防と日常のケア
- 虫刺されやアトピー性皮膚炎の掻き傷を早めに治療する
- 爪を短く切り、掻き壊しを防ぐ
- 皮膚を清潔に保つ
- タオルや衣類の共用を避ける
- プール・入浴施設での感染拡大に注意(学校プールは治癒まで参加を控える)
治療法と登園・登校の目安
とびひの治療は抗菌薬(内服・外用)が基本です。ひどくなければ外用のみで治療できますが、広範囲の場合や全身症状がある場合は内服も必要です。
通常、抗菌薬を開始して2〜3日で感染力が低下します。保育園・幼稚園・学校への登園登校は、すべての皮疹が乾燥してかさぶたになるまで自粛することが一般的です。主治医と相談の上で判断してください。

子どもの皮膚疾患で受診すべきサイン
以下の状況では速やかに小児科・皮膚科を受診してください:
- 発熱(38度以上)を伴う皮膚疾患
- 水ぶくれや皮疹が急速に広がる
- 皮疹からジクジクした分泌物がある
- 顔・目の周囲・口の中に皮疹が広がった
- 市販薬で1週間以上改善しない
- 子どもが強いかゆみで眠れない状態が続く
皮膚疾患全般の基礎知識については皮膚疾患の種類と症状・治療ガイドをご参照ください。皮膚のかゆみへの対処法については皮膚のかゆみの原因と対処法:乾燥・アレルギー・内臓疾患も役立ちます。
子どもの皮膚疾患は適切なケアで多くが改善しますが、症状が重い・範囲が広い・発熱を伴う場合は迷わず皮膚科・小児科を受診することが大切です。早めの受診が症状の悪化を防ぎ、子どもの不快感を早期に和らげることに繋がります。
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