歯並びが悪くなる原因と不正咬合の種類を徹底解説
この記事は一般的な情報提供を目的としており、医療アドバイスに代わるものではありません。健康上の問題については、必ず医師にご相談ください。編集ポリシー

歯並びが悪くなる原因を先天的・後天的要因に分けて解説。叢生・上顎前突・反対咬合・開咬など不正咬合の9種類の特徴と治療法を矯正専門の視点で詳しく紹介します。自分の歯並びタイプがわかるチェックリスト付き。
歯並びが悪くなる原因と不正咬合の種類を徹底解説
「自分の歯並びが気になる」「子どもの歯並びが心配」——そんな悩みを抱えている方は少なくありません。WHO(世界保健機関)は不正咬合を、う蝕(虫歯)や歯周病に次いで最も重要な口腔健康問題の一つと位置づけています。実際、世界的な不正咬合の有病率は約56%にのぼり、子どもから大人まで多くの人が歯並びの問題を抱えています。
この記事では、歯並びが悪くなる原因を先天的要因・後天的要因に分けて解説し、不正咬合の9つの種類とそれぞれの特徴を詳しく紹介します。自分の歯並びのタイプを知ることで、最適な治療法を選ぶ第一歩にしましょう。
不正咬合とは?正常な咬合との違い
不正咬合(ふせいこうごう)とは、上顎と下顎の位置関係や歯並びに問題があり、正常な噛み合わせが得られない状態を指します。正常な咬合では上の歯が下の歯をわずかに覆い、すべての歯が正しい位置で噛み合っています。
不正咬合は大きく以下の3つの成因から成り立っています。
- 骨格性:上顎や下顎の骨の大きさ・位置関係に問題がある
- 歯性:歯の大きさ、形、本数に問題がある
- 機能性:噛み合わせの癖や口周りの筋肉のバランスが崩れている
永久歯列における不正咬合の世界的な分布を見ると、アングル分類でClassⅠ(歯並びの問題のみ)が74.7%、ClassⅡ(上顎前突傾向)が19.56%、ClassⅢ(下顎前突傾向)が5.93%となっています(出典:PMC)。
歯並びが悪くなる先天的な原因
先天的な原因とは、生まれ持った遺伝的要因や発育段階で決まる要素のことです。
遺伝的要因
親から子へ受け継がれる骨格や歯の特徴は、不正咬合に大きな影響を与えます。たとえば、ClassⅢ(反対咬合)の家族歴がある場合、子どもにも同じ傾向が現れやすいことが研究で示されています。
具体的には以下のような特徴が遺伝しやすいとされています。
- 顎の大きさや形状
- 歯の大きさや本数
- 上下の顎のバランス
顎と歯のサイズの不調和
顎が小さいのに歯が大きい場合、歯が並ぶスペースが足りず叢生(そうせい)になります。逆に顎が大きく歯が小さい場合は、すきっ歯(空隙歯列)になりやすくなります。現代人は軟らかい食事の影響で顎が小さくなる傾向にあり、叢生は増加傾向にあります(参考:ふじよし矯正歯科クリニック)。
先天性欠如歯・過剰歯
生まれつき歯の本数が少ない(先天性欠如歯)場合や、余分な歯がある(過剰歯)場合も歯並びに影響します。日本人の約10%に先天性欠如歯が見られるとされています。
歯並びが悪くなる後天的な原因
後天的な原因は、成長過程や日常の習慣によって引き起こされるものです。これらは意識的に改善できる可能性があるため、早期に気づくことが大切です。

口腔習癖(悪い癖)
幼少期の癖が長期間続くと、歯並びに悪影響を及ぼします。
- 指しゃぶり:幼稚園・小学校以降も続けていると上顎前突(出っ歯)や開咬の原因に
- 舌突出癖:舌を前歯の間に押し出す癖で、開咬を引き起こす
- 口呼吸:鼻づまりなどで常に口が開いた状態だと、上顎が狭くなり叢生や上顎前突になりやすい(参考:佐久間デンタルクリニック)
- 爪噛み・唇噛み:局所的な歯の移動を引き起こす
乳歯の早期喪失・虫歯
乳歯が虫歯や外傷で予定よりも早く抜けると、周囲の歯が移動してスペースが失われ、永久歯が正しい位置に生えてこられなくなります。乳歯の虫歯を「どうせ抜ける歯だから」と放置することは避けましょう。
食生活の変化
柔らかい食事が中心の現代の食生活は、咀嚼器官の機能や顎の発育を抑制する可能性があります。硬い食品をよく噛んで食べることで、顎の成長が促進されます。
姿勢の悪さ
頬杖をつく癖や片側だけで噛む偏咀嚼は、顎のゆがみや左右非対称の原因になります。
不正咬合の主な9つの種類と特徴
ここでは、代表的な不正咬合の種類とその特徴を解説します。自分の歯並びがどのタイプに当てはまるか確認してみましょう。
| 不正咬合の種類 | 特徴 | 主な原因 | 有病率の目安 |
|---|---|---|---|
| 叢生(そうせい) | 歯がデコボコ・重なり合う | 顎と歯のサイズ不調和 | 最大84% |
| 上顎前突(出っ歯) | 上の前歯が前方に突出 | 遺伝・指しゃぶり | 約20% |
| 反対咬合(受け口) | 下の前歯が上より前に出る | 遺伝・舌の癖 | 約6% |
| 開咬(オープンバイト) | 上下の前歯が噛み合わない | 舌癖・指しゃぶり | 約5〜10% |
| 過蓋咬合(ディープバイト) | 上の前歯が下を深く覆う | 骨格的要因 | 約15〜20% |
| 空隙歯列(すきっ歯) | 歯と歯の間に隙間がある | 歯のサイズ・欠如歯 | 約10〜15% |
| 交叉咬合(クロスバイト) | 上下の歯が左右で交差して噛む | 顎のゆがみ・偏咀嚼 | 約5〜8% |
| 切端咬合 | 上下の前歯の先端が当たる | 骨格的要因 | 約3〜5% |
| 正中離開 | 上の前歯の中央に隙間がある | 上唇小帯・過剰歯 | 約5〜10% |
叢生・上顎前突・反対咬合:日本人に多い3大不正咬合
叢生(そうせい):最も多い不正咬合
叢生は乱ぐい歯・八重歯とも呼ばれ、不正咬合の中で最も頻度が高く、有病率は最大84%に達します。顎の大きさに対して歯が並ぶスペースが不足しているために起こります。

現代人の食生活の変化で顎が小さくなっていることが、叢生増加の大きな要因です。見た目の問題だけでなく、歯磨きが行き届きにくいため虫歯や歯周病のリスクも高まります(参考:名古屋西矯正歯科クリニック)。
上顎前突(出っ歯)
上の前歯が前方に突出した状態で、アングル分類ではClassⅡに分類されます。遺伝的要因のほか、幼少期の指しゃぶりや口呼吸が原因となることがあります。
前歯が外傷を受けやすい、口唇が閉じにくく口呼吸になりやすいなどの問題があります。見た目のコンプレックスだけでなく、ドライマウスによる虫歯リスクの増加にも注意が必要です(参考:日本臨床矯正歯科医会)。
反対咬合(受け口)
下の前歯が上の前歯よりも前に出ている状態です。下顎の過成長や上顎の成長不足が原因で、遺伝的な影響も大きいタイプです。
歯の問題だけで起こっている反対咬合は矯正治療で比較的改善しやすいですが、骨格に問題がある場合は外科矯正(顎の手術)が必要になることもあります。咀嚼機能への影響も大きく、早期の対応が望まれます。
開咬・過蓋咬合・空隙歯列の特徴と問題点
開咬(オープンバイト)
奥歯は噛み合うのに、上下の前歯の間に隙間ができて噛み合わない状態です。指しゃぶり、舌突出癖、口呼吸が主な原因です。

前歯で食べ物を噛み切れない、発音が不明瞭になるなどの問題があります。治療は成長の早い時期(6〜8歳)に開始するのが望ましいとされています(参考:旭川公園通り矯正歯科)。
過蓋咬合(ディープバイト)
上の前歯が下の前歯を深く覆いすぎている状態です。重症の場合、下の前歯が上の歯茎に食い込むこともあります。
顎関節への負担が大きく、顎関節症の原因になることがあります。また、下の前歯の摩耗や歯周組織への悪影響も懸念されます。
空隙歯列(すきっ歯)
歯と歯の間に隙間が目立つ状態です。顎の大きさに対して歯が小さい場合や、先天性欠如歯(歯の本数が足りない)が原因で起こります。
見た目の問題のほか、隙間から空気が漏れて発音に影響が出ることがあります。ダイレクトボンディングやラミネートベニアなど、矯正以外の治療選択肢もあります。
交叉咬合・正中離開など、その他の不正咬合
交叉咬合(クロスバイト)
通常は上の歯列が下の歯列を覆いますが、一部で上下が逆転している状態です。片側だけで噛む癖(偏咀嚼)や顎のゆがみが原因となります。
放置すると顔の左右非対称が進行する可能性があります。特に成長期の子どもでは早期の対応が重要です。
正中離開
上の前歯の中央に隙間がある状態で、いわゆる「すきっぱ」の代表的なパターンです。上唇小帯が大きい場合や正中に過剰歯がある場合に起こりやすくなります。
小帯切除や過剰歯の抜歯を行ったうえで、矯正治療を組み合わせることが一般的な治療法です。
切端咬合
上下の前歯の先端同士がぶつかるように噛む状態です。歯の先端に大きな力がかかるため、摩耗や欠けが起こりやすい特徴があります。
不正咬合を放置するリスク
不正咬合を治療せずに放置すると、さまざまな健康上のリスクが生じます(参考:ドクターズ・ファイル)。
- 虫歯・歯周病のリスク増加:歯並びが悪いと歯磨きが行き届かず、プラークが溜まりやすい
- 顎関節症:噛み合わせの不良は顎関節への過度な負担を招く
- 消化器への影響:正しく噛めないことで消化不良を起こしやすい
- 発音障害:特に開咬やすきっ歯では、サ行やタ行の発音に影響する
- 心理的影響:歯並びへのコンプレックスは自信や社交性に影響する
WHO(世界保健機関)の報告では、不正咬合は口腔疾患の中でう蝕と歯周病に次いで3番目に多い問題とされています(出典:PubMed)。
不正咬合の治療法:自分に合った矯正を選ぼう
不正咬合の治療法はさまざまな選択肢があります。症状の種類や程度、年齢によって最適な方法が異なります。

ワイヤー矯正
最もスタンダードな矯正方法で、ほぼすべての不正咬合に対応できます。歯の表面にブラケットとワイヤーを装着し、持続的な力で歯を移動させます。詳しくは「ワイヤー矯正の特徴・費用・治療期間を詳しく解説」をご覧ください。
マウスピース矯正(インビザライン)
透明なマウスピースを使った目立たない矯正法です。軽度〜中等度の不正咬合に適しています。取り外し可能で衛生的なのがメリットですが、重度の不正咬合には対応が難しい場合もあります。「マウスピース矯正(インビザライン)のメリット・デメリット」で詳しく解説しています。
裏側矯正(舌側矯正)
歯の裏側にブラケットを装着するため、外から見えない矯正法です。見た目を気にする方に人気がありますが、費用が高めで技術的な難易度も上がります。「裏側矯正(舌側矯正)の特徴:見えない矯正を徹底解説」も参考にしてください。
外科矯正
骨格性の不正咬合(重度の反対咬合など)では、矯正治療だけでなく顎の手術が必要になる場合があります。保険適用になるケースもあり、顎変形症と診断された場合は費用面でのメリットがあります。
矯正治療の全体像については「歯並び矯正の完全ガイド:方法・費用・期間の全知識」で詳しくまとめています。
まとめ:早めの受診で最適な治療を
不正咬合の原因は遺伝的要因と後天的要因の両方があり、指しゃぶりや口呼吸などの日常の癖が原因となることも多くあります。不正咬合には叢生、上顎前突、反対咬合、開咬、過蓋咬合、空隙歯列など多くの種類があり、それぞれに適した治療法が存在します。
特に子どもの不正咬合は、成長期に適切なタイミングで治療を開始することで、より効果的に改善できます。大人の場合でも、現在はワイヤー矯正からマウスピース矯正まで多くの選択肢があり、年齢に関わらず治療が可能です。「大人の歯列矯正:年齢制限はある?30代40代からでも遅くない」も合わせてお読みください。
歯並びが気になる方は、まずは矯正歯科の選び方:認定医・専門医の違いと見極めポイントを参考に、信頼できる矯正歯科医に相談することをおすすめします。早期の受診が、美しい歯並びと健康な口腔環境への第一歩です。
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