膝痛のヒアルロン酸注射:効果・費用・注射回数の目安
この記事は一般的な情報提供を目的としており、医療アドバイスに代わるものではありません。健康上の問題については、必ず医師にご相談ください。編集ポリシー

膝痛に対するヒアルロン酸注射の効果、費用、回数の目安を詳しく解説。保険適用の条件、副作用、効果の持続期間、注射が効かない場合の代替治療まで整形外科の最新情報をもとに紹介します。

膝の痛みに対するヒアルロン酸注射は、変形性膝関節症の保存療法として広く行われている治療法です。関節内の潤滑機能を補い、痛みを軽減する効果が期待できますが、その効果や持続期間、費用については正しい知識を持つことが大切です。本記事では、ヒアルロン酸注射の仕組みから効果、費用、注射回数の目安まで、整形外科の最新情報をもとに詳しく解説します。
ヒアルロン酸注射の仕組みと効果
ヒアルロン酸はもともと関節液に含まれる成分で、関節がスムーズに動くための「潤滑油」と衝撃を吸収する「クッション」の役割を果たしています。ひざ関節症クリニックの解説によると、変形性膝関節症が進行すると関節液中のヒアルロン酸濃度が低下し、関節の滑りが悪くなって痛みが増強します。
ヒアルロン酸注射は、この不足したヒアルロン酸を関節内に直接補充する治療法です。主な効果は以下の3つです。
- 潤滑作用: 関節の滑りを改善し、動きをスムーズにする
- 鎮痛・抗炎症作用: 痛みの原因となる炎症性サイトカインの産生を抑制する
- 軟骨保護作用: 軟骨細胞の代謝を促進し、変性の進行を遅らせる可能性がある
ただし、イノルト整形外科が指摘するように、ヒアルロン酸注射はすり減った軟骨を再生させる治療ではなく、あくまで症状の緩和を目的とした対症療法であることを理解しておく必要があります。
日本で使用されているヒアルロン酸製剤には、分子量の違いによって複数の種類があります。低分子量のアルツ(科研製薬)は最も広く使用されており、高分子量のサイビスク(サノフィ)は1回の注射で長期間の効果が期待できるとされています。
注射の回数とスケジュール|標準的な治療プロトコル
ヒアルロン酸注射の標準的な治療プロトコルは以下のとおりです。
| 治療段階 | 頻度 | 回数 | 費用目安(3割) | 目的 |
|---|---|---|---|---|
| 初期導入期 | 週1回 | 連続5回 | 計約10,000〜12,500円 | 関節内のヒアルロン酸濃度を回復 |
| 維持期(前半) | 2週に1回 | 5〜10回 | 1回約2,000〜2,500円 | 効果の維持と安定化 |
| 維持期(後半) | 月1回 | 症状に応じて | 1回約2,000〜2,500円 | 長期的な痛みのコントロール |
| 効果不十分時 | 再評価 | ー | ー | 他の治療法への切り替えを検討 |
枚方大橋つじもと整形外科によると、初回の5回連続注射で約70%の患者さんに痛みの改善が見られます。効果が確認できた場合は、その後2〜4週間に1回のペースで維持投与を行い、状態が安定すれば徐々に間隔を空けていきます。
1回の注射の所要時間は5〜10分程度で、注射後はすぐに日常生活に戻ることができます。ただし、注射当日の激しい運動や長時間の入浴は避けることが推奨されます。注射前にアイシングや局所麻酔を行うクリニックもあり、痛みに敏感な方は事前に相談するとよいでしょう。
費用と保険適用について
ヒアルロン酸注射は保険適用の治療です。バウムクリニックの情報によると、費用の目安は以下のとおりです。
保険適用の場合(注射手技料+薬剤費):
- 1割負担(後期高齢者など):1回あたり約800〜1,000円
- 2割負担:1回あたり約1,500〜2,000円
- 3割負担(一般的な現役世代):1回あたり約2,000〜2,500円
これに加えて、初診料(約850〜2,900円/3割負担)、再診料(約220〜730円/3割負担)、X線検査費用(約1,000〜2,000円/3割負担)が必要です。初回の5回導入期における3割負担の総費用は、検査費込みで約15,000〜20,000円程度が目安です。
保険適用されるのは「変形性膝関節症」「四十肩・五十肩(肩関節周囲炎)」「関節リウマチ」に対する治療に限られます。美容目的や明確な診断がない場合の使用は自費診療となるため注意が必要です。
高額療養費制度の対象にはなりにくい金額ですが、確定申告の医療費控除の対象にはなるため、領収書は大切に保管しておきましょう。
効果の持続期間と効果が出やすい人の特徴
ヒアルロン酸注射の効果の持続期間について、ひざ関節症クリニックのコラムでは以下のように説明されています。
- 1回の注射効果は約1〜2週間が一般的
- 5回の連続投与後は、効果が数週間から数か月続くこともある
- 繰り返し注射することで、徐々に効果の持続期間が延びるケースもある
効果が出やすいのは以下のような方です。
- 変形性膝関節症の初期〜中期(KLグレード1〜2)の方
- 膝に水(関節液)がたまっていない、あるいは少量の方
- 運動療法や体重管理を併用している方
- 発症から期間が短い方
逆に、KLグレード3〜4(中等度〜重度)では効果が限定的になることがあり、軟骨がほぼ消失しているグレード4では注射の効果はほとんど期待できません。そのような場合は手術療法を含む他の選択肢を検討する必要があります。
副作用とリスク|注意すべきポイント
ヒアルロン酸注射は比較的安全性の高い治療ですが、再生医療クリニックの情報によると、以下の副作用が報告されています。
比較的よく見られる副作用:
- 注射部位の一時的な痛みや違和感(数時間〜1日程度で軽快)
- 注射部位の腫れや発赤(冷却で対応可能)
- 関節の重だるさ(通常翌日には軽快)
まれに起こる重大な副作用:
- 関節内感染(化膿性関節炎):発生率は約0.002%と非常にまれだが、発熱や著しい腫れが出た場合はすぐに受診が必要
- アレルギー反応:鶏冠由来のヒアルロン酸製剤では鶏卵アレルギーの方に注意(発酵法由来の製剤では問題なし)
- 関節内出血:抗凝固薬を服用している方はリスクがやや上昇
長期間にわたって繰り返し注射を行うことについては、針の穿刺による感染リスクの蓄積や、関節軟骨への微小な損傷の可能性が指摘されており、漫然と続けるのではなく定期的に治療効果を評価し、効果がなくなってきた場合は次の治療ステップに進むことが重要です。
ヒアルロン酸注射が効かない場合の次のステップ
ヒアルロン酸注射で十分な効果が得られない場合、以下の代替治療を主治医と相談しながら検討します。
- PRP療法(多血小板血漿療法): 自身の血液から抽出した成長因子を注射する再生医療で、ヒアルロン酸注射より高い効果が報告されています。詳しくはPRP療法による膝痛治療の最新情報をご覧ください
- ステロイド注射: 強力な抗炎症効果があり急性の痛みに有効ですが、頻回使用(年3〜4回以上)で軟骨に悪影響を及ぼす可能性があるため短期的な使用に限られます
- 運動療法の強化: 膝痛に効くストレッチと筋トレを積極的に行うことで、注射療法との相乗効果が期待できます
- 手術療法: 保存療法の限界を超えた場合に人工関節置換術を含む手術を検討します

まとめ
ヒアルロン酸注射は変形性膝関節症の初期〜中期において有効な保存療法です。週1回×5回の標準治療で約70%の患者に改善効果があり、保険適用で費用負担も比較的軽い治療法として多くの整形外科で実施されています。ただし、根本的な治療ではないため、運動療法や体重管理と組み合わせることで最大の効果を発揮します。注射の効果が不十分な場合や、長期間の注射に不安を感じる場合は、遠慮なく主治医に相談して次の段階の治療を検討しましょう。
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