半月板損傷の原因・症状・手術と保存療法の選択
この記事は一般的な情報提供を目的としており、医療アドバイスに代わるものではありません。健康上の問題については、必ず医師にご相談ください。編集ポリシー

半月板損傷の外傷性・変性の原因、ロッキングなどの症状、保存療法と手術(縫合術・切除術)の違い、リハビリまで詳しく解説。再生医療の最新情報も紹介します。

半月板とは?その構造と役割
半月板は膝関節の中で大腿骨と脛骨の間にあるC型をした軟骨様の組織で、内側と外側にそれぞれ一つずつあります。順天堂大学附属病院によると、半月板は関節に加わる体重の負荷を分散させるクッションの役割と、関節の安定性を保つ役割を担っています。
その成分は70%以上が水分で、残りはコラーゲンから主に構成されています。重要なのは、辺縁部30%を除いては血行に乏しく、一度損傷されると修復されにくい組織であるという点です。
半月板損傷の原因
半月板損傷の原因は大きく分けて外傷性と変性(加齢性)の2つがあります。
外傷性損傷
スポーツ中のストップやターン、ジャンプの着地など、膝をひねる動きで損傷します。特に以下のスポーツで多く発生します:
- サッカー、バスケットボール、スキー
- バレーボール、テニス
- ラグビー、柔道
川崎病院によると、前十字靭帯断裂に伴って半月板が損傷することも多く、10〜30代の若い世代に多く見られます。
変性(加齢性)損傷
40代以降の中高年では、長い年月をかけた膝の使い過ぎや加齢による変性で半月板がすり減り、軽い外力でも損傷します。半月板変性断裂の有病率は、50代で約25%、60代で約35%、70代で約45%とされています。
| 損傷タイプ | 原因 | 好発年齢 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 外傷性損傷 | スポーツ外傷 | 10〜30代 | 急性発症、激しい痛み |
| 変性損傷 | 加齢による変性 | 40代以降 | 徐々に進行、慢性的な痛み |
半月板損傷の主な症状
なかしま内科循環器・整形外科クリニックによると、半月板損傷の主な症状には以下があります:
- 痛み:膝の内側または外側が痛む
- 腫れ:関節内に水や血液が溜まる
- ロッキング:急に膝が曲げ伸ばしできなくなり歩けなくなる
- クリック音:膝を動かすとパキパキ音がする
- 引っかかり感:膝が引っかかる感じがする
- 可動域制限:正座やあぐらが困難になる
特にロッキングは重篤な症状で、日常生活に大きな支障をきたします。また、放置すると損傷が進行し、変形性膝関節症へ発展するリスクがあります。
保存療法の選択と内容
人工関節ドットコムによると、損傷の程度が軽度である場合や、損傷部位に血流がある場合は保存療法が選択されます。
保存療法の具体的な内容:
- 安静とアイシング:急性期は炎症を抑えるため安静と冷却を行う
- 薬物療法:消炎鎮痛剤の内服、湿布や塗り薬の使用
- 関節内注射:ヒアルロン酸やステロイドの注射で痛みと炎症を抑制
- 装具療法:サポーターによる膝の安定化
- リハビリテーション:大腿四頭筋やハムストリングスの筋力強化
ロッキングがなく痛みのみの場合は、3カ月程度を目安に保存療法を行います。半月板を温存できるため、将来の変形性膝関節症リスクを低減できるメリットがあります。
手術療法の種類と選択基準
保存療法で改善が見られない場合、手術を検討します。ひざ関節症クリニックによると、手術には主に以下の2種類があります。
半月板縫合術
断裂した半月板を縫い合わせる手術です。血流のある部位(辺縁部)の損傷に適応されます。半月板を温存できるため、長期的には変形性膝関節症のリスクを低減できますが、回復に時間がかかります。
半月板切除術(部分切除術)
傷んだ部分を切り取る手術です。現在はできる限り半月板を温存する部分切除術が主流です。回復は早いですが、将来的に軟骨への負担が増加するリスクがあります。
| 比較項目 | 縫合術 | 部分切除術 |
|---|---|---|
| 入院期間 | 約1〜2週間 | 数日〜1週間 |
| スポーツ復帰 | 約5〜6カ月 | 約2〜3カ月 |
| 半月板の温存 | 可能 | 部分喪失 |
| 将来のリスク | 低い | やや高い(軟骨摩耗) |
再生医療という新たな選択肢
近年はPRP療法や幹細胞治療による半月板の修復も注目されています。自分の血液や脂肪から抽出した成分を膝に注射することで、傷ついた半月板の修復を促す効果が期待されています。
リハビリテーションの重要性
半月板損傷からの回復において、リハビリは極めて重要です。ひざ関節症クリニックによると、大腿四頭筋やハムストリングスを鍛えることで膝関節が安定し、損傷部にかかる負担を分散できます。
ただし、炎症が強い時期に無理に運動をすると悪化する可能性があるため、トレーニングは必ず主治医や理学療法士の指導のもとで行いましょう。自宅でできるリハビリも段階的に取り入れることで、回復を促進できます。

まとめ:膝に違和感を感じたら早めの受診を
半月板損傷は症状が悪化するほど治療期間が長引きます。膝にロッキングや引っかかり感、水が溜まるなどの症状がある場合は、早めに整形外科を受診しましょう。膝痛全般については膝痛の完全ガイドもご参照ください。
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